日本を代表するピアニスト・小山実稚恵さんの12年24回リサイタルシリーズ「音の旅」を聴きながら、一緒に旅をするコラムを綴っています。
小山実稚恵さん12年24回リサイタルシリーズ「音の旅」では、毎回テーマとカラーとともに演出されたピアノ演奏を味わうことができ、こちら北九州市でも開催されています。
詳しくは小山実稚恵のファンページをご覧ください。
♪
今回のテーマは「ピアノの魅力」。カラーは「金・麦の色」です。
「ピアノが紡ぎ出す自然の情景 自然の香りは、ピアノの響きとなる」
(小山実稚恵さんがこのリサイタルに寄せた言葉)
今回のリサイタル、2013年(平成25年)秋の曲目です。
♪
さて、2013年10月12日の土曜日の北九州市八幡は、すっきりと秋晴れのお天気に恵まれました。
私は当日、午前中にボランティアの会議を終え、足早に母との約束したところへ向かいました。
「晴れてよかったねぇ。」「何を着ていくか、迷ったっちゃ。」
お互いにそんなことを話しながら、お馴染みの北九州市立響ホールに向かいます。
今日は、8月のプレトーク・イベントからベートーヴェン「田園」リスト編曲を楽しみにしてきていました。
この有名な交響曲は5楽章からなり40分もあって、本当に全曲弾くのかな?と実は思っていたのですが、
なんと実稚恵さんは全曲弾いてくださいました!
冒頭のあのすがすがしいメロディーが、今日はピアノで奏でられます…
●ベートーヴェン 交響曲 第6番ヘ長調 作品68「田園」
Ⅰ.Allegro ma non troppo
《田舎へ着いたときの愉しい感情のめざめ》
Ⅱ.Andante molt mosso
《小川のほとりの情景》
Ⅲ.Allegro
《いなかの人たちの楽しいつどい》
Ⅳ.Allegro
《雷雨、嵐》
Ⅴ.Allegretto
《牧人の歌ー嵐のあとの喜びと感謝の気持ち》
(ブルーノ・ワルター指揮、コロンビア交響楽団CD(Sony CLASSICAL)ジャケット・ブックレットより)
収穫の秋を喜ぶ村の人たちの様子が、かろやかに表現されていきます。
弦楽器では弓を飛ばして、管楽器ではスタッカートがたくさん出てきて、第3楽章まではずっとうきうきした様子が感じられます。
いろんな楽器のいろんな表情が、今日はピアノの音ですべて聞こえてきます。
全く違った秋を、今日はホールにいるみなさんと感じているのだなぁなんて思っていると、第4楽章の「嵐」がやってきます。
一台のピアノがうねりを見せ、とたんに変わる秋の空を表していました。
嵐が過ぎると曲はクライマックスへ。嵐が去ったことへの感謝を表し、安堵感に満ちたレガートのメロディーが次々と聴こえてきました。
曲が終わりに近づくと、なんだかもう終わってしまうのか…とさえ思えた40分間でした。
♪
さて、休憩後はショパンのポロネーズが3曲。今日のリサイタルのテーマ、「ピアノの魅力」をしっかりと聴ける曲目が続きます。
お恥ずかしいことに私はポロネーズやマズルカがどういう曲なのかあまり知らないのですが、
きっと詳しいファンの方々にとっては、3曲のポロネーズはより聴き応えのあるものだったことでしょう。
ただ私にも第5番ポロネーズは、リーフレットの説明にあるように「うつらうつらと~夢の物語のような印象」を確かに感じて、ショパンの良さを改めて感じました。
さらにシャブリエのあと、ヴェルディ歌劇「リゴレット」のリスト編曲パラフレーズです。
オペラ第3幕の四重奏の場面がピアノで華麗に奏でられ、リサイタルの最後が華やかな雰囲気で包まれました。
♪(番外編)
演奏後、私の後ろの席にどうやら長年のご友人であるらしいおじ様方が3、4人でおられたのですが、
「いやぁ、田園交響曲なんて珍しい、いいものを聴かせてもらったなぁ。」などなど。
その中のお一人は、佐賀か長崎から来られたようでした。
今日のリサイタルは、ご友人同士の集まりでもあったのかな?音楽がつなぐ友情っていいなあ、なんて思いました。
さてさて、小山実稚恵「音の旅」シリーズは、次回第17回~舞曲の園~(2014年春公演)へと続きます!
今度は藍紫(あいむらさき)で彩られたマズルカ、ワルツの世界へ…。
小山実稚恵ファンサイト
アコルデ・ホームページ

